昼間の暑い中、トレーニングに励んでいる人もいるのではないでしょうか。
そんな人なら、なんとなく知っている熱中症。この熱中症について、特にランナーであれば、詳しく知っておくべきです。
熱中症とは
暑熱ストレスによって引き起こされる全身障害の総称です。
その症状や原因による分類
熱痙攣
熱疲労
熱射病
熱卒中
厳密に区別できるものではなく、相互に関連し、一連のものである可能性もあります。
熱痙攣とは?
症状
・激しい痛みを伴う不随意な筋収縮
・四肢の筋肉のみだけでなく体幹の筋肉や内臓の筋痙攣が出現する場合もあり
・そのほか、脱力感や胃の疼痛、嘔吐、下痢を伴うこともあり
・体温は正常、あるいは正常以下。
発生のメカニズム
熱痙攣を起こすメカニズムは定かではありませんが、NaClの喪失が、細胞膜の電気的なバランスを変化させ、不随意な筋収縮を引き起こすと考えられています。
対処方法
塩分(NaCl)を含む飲料を飲むことで、熱痙攣の症状はほとんど回復します。
食事での多めの塩分の摂取や、トレーニング中に塩のような電解質を摂ることで予防できます。
熱疲労とは?
症状
熱中症の中で、最も一般的な症状で、ランナーやトライアスリートの方で経験した事がある方もいるのではないでしょうか。
・吐き気、嘔吐、食欲不振、神経過敏、頭痛、不安、下痢、寒気、過呼吸、
頭部・上半身に感じる熱感
・ときに、失神、昏睡
・体温の著明上昇なし
発症のメカニズム
多くの発汗により、水分と塩分が十分に補給されないと発症する一種の脱水症状で、心臓から送り出される血液量が減少し、筋肉や皮膚へ血液を十分に送り出せなくなることが原因と考えられています。
対処方法
水分補給をすることにより、15~30分で症状は改善されます。中程度以上の運動では1時間に2gのNaClと1.5ℓの水分が喪失されるため、それを考慮して、補給を行います。
熱射病とは?
症状
熱疲労と違い、熱射病は命をも脅かすことがあります。
・高体温 41℃~42℃まで達します
・発汗停止
・皮膚は赤く乾燥
・頭痛、めまい、全身倦怠感、嘔吐
・おかしな行動、精神混乱
・死亡率が高い
発症のメカニズム
高温の環境での運動で、体の熱を放散する機能が、熱産生に追い付かず、体温調節機能が破綻し、体温が異常に上昇していきます。
対処方法
発症後、出来るだけ早く冷却を行う事で、致死率や後遺症の危険性は低下します。
このとき、体温を37℃まで下げます。
体温を低下させるための冷却方法は
・鼠径部、腋下、頸部前面にアイスパックを置く
・アイスパックで全身を覆う
・気温が高くない場所で、全身に水を吹きかける
・氷水に全身を浸す
場合によっては、AEDなど心肺蘇生を行う必要があります。
熱卒中とは?
症状
体調が良い選手に起こることは、あまりありませんが
・意識喪失
・顔面蒼白
・全身脱力感
・視野の異常
・めまい
・頭痛
・吐き気
・体温はおおむね正常で、呼吸数増加、血圧は低下
発症のメカニズム
高温環境下での運動では熱を放散するため、皮膚への血流が増え、血管も拡張します。また、筋肉への血流も増えるため、循環する血液量が減少し、脳への虚血が起こります。その結果、意識の喪失などの症状が起こります。
対処方法
・水分と電解質の補給
・仰向けに寝て、足を高く上げることによって、脳へ血流が供給されます。
熱中症のリスクを減らし、トレーニングを継続するために
・トレーニング前に0.5L~1Lの水分補給
・トレーニング中は20分おきぐらいに300mlぐらいの水分補給
・なるべく涼しい時間帯にトレーニング
・食事で十分な塩分補給
・熱中症の症状を理解しておく
・高温多湿の環境ではウォーミングアップを長くやりすぎない
まとめ
自分は暑さに強いからとか、学生時代猛暑の中猛練習をやっていたから、などの自信はあまり大切にせずに、最高のトレーニング効果を得るために、しっかりと熱中症に対する知識を得ることが大切な事です。